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認知症予防と健康その12

今回は私が考えた認知症予防の8カ条を紹介します。
① 楽しく集中できる趣味を持つ
② 体を動かす。速歩。デュアルタスク(二重課題)運動など
③ 人とのつながりを持つ
④ 多種類の野菜や果物、大豆製品、ナッツ類、青背の魚
⑤ 生活習慣病の治療
⑥ 難聴の予防と治療
⑦ 歯周病の予防と治療
⑧ 予備軍のMCI(軽度認知症)で気付き、早めに治療。

予備軍で気付くためには、図1に示す症状に注意が必要です。心配な方は竹下医院にご相談ください。無料で簡単な検査ができます。


以下の「もの忘れ問診票」をチェックしてみましょう。あなたやあなたのご家族はいくつ当てはまりますか?当てはまる項目が一つでもある場合は検査を受けましょう。

図1   もの忘れ問診票

□ 人の名前や物の名前が思い出せなくなった
□ 同じことを何回も聞く・言う
□ 置き忘れ、しまい忘れが増えていつも捜し物をしている
□ テレビ番組の内容が理解できなくなった
□ 買い物などでお金の計算ができなくなった
□ 約束の日時や時間を間違えるようになった
□ 何もせず、家でじっとしていることが多くなった
□ 趣味や好きなことをしなくなった
□ 外出したがらず、人づきあいをしたがらない
□ 下着を替えず、身なりがだらしなくなった
□ 怒りっぽい。ささいなことですぐに怒る
□ お金や物を盗まれた、誰かに盗られたと言うことがある
□ シャツやズボンをきちんと着ることができない
□ 外出すると迷子になる。1人で家に帰れない
□ ガスの消し忘れなど、火の不始末がある
□ 実際には居ない人や動物が見えると訴える
□ 夕方になると落ち着かない。夜中に大声をあげる

2022年08月26日

マーラーの曲と健康

 先日、マーラーの交響曲第5番の生演奏を聴いた。私はマーラーの大ファンなので、ダメもとでチケットをおさえておいたのだが、コンサート日がちょうど新型コロナの新規感染がほとんどない時期で、超幸運にも何とか行って来ることができた。
 演奏は日本フィルハーモニー交響楽団、指揮は2016年にマーラー指揮者コンクールで優勝した、シンガポール出身のカーチュン・ウォンである。カーチュン・ウォンは、ミュージカルアメリカ誌で、「深淵で誠実」な音楽性を持っている称賛されている新進気鋭の指揮者で、その通りの素晴らしい演奏を堪能した。
 マーラーの交響曲は1番から9番までと、8番の次に作曲した番号なしの「大地の歌」そして1楽章だけで未完の10番と、全部で11曲ある。その中で人気が高いのは、圧倒的に5番である。ビスコンティ監督の映画「ベニスに死す」では、交響曲5番の第4楽章アダージョを、映画音楽として使っている。映画でこの曲が有名になった為、マーラーの交響曲第5番が好きという方が多いかもしれない。
 しかし、たとえ映画で使われていなくても、ハープと弦で奏でるこの美しい曲を好きにならない人はいないでしょう。11分ぐらいの、クラシック音楽として短い曲なので、是非一度聴いてみて下さい。きっと大いに癒されます。
 第4楽章アダージョと書きましたが、アダージョとは速度記号で「静かに静かに」を意味するイタリア語です。アダージョとつく曲は美しい曲が多く、カラヤン指揮のアダージョ集のオムニバスCDが売られているぐらいです。
 さて、マーラーが最初に書いたアダージョはこの曲ではありません。交響曲第3番の第6楽章「愛が私に語ること」が、マーラーが作曲した最初のアダージョです。私はこの曲も好きで、30年前の開業当時から、外来で流していました。こちらは25分と長いので、簡単にはいきませんが、一度トライしてみましょう。

                                  (竹下敏光)

2022年06月22日

腸内細菌と健康

ある種の腸内細菌は免疫力を強くして、癌細胞や細菌、ウィルスなどの増殖を抑えたり、自律神経系の働きを整えたりするなど、人間にとって有益なことが沢山ある、ということは以前書きました。
 今回は、2021年12月号の「日本抗加齢医学会雑誌」に載った、腸内細菌に関する情報を紹介します。
 京都府丹後地域は人口10万人当たりの百寿者数が全国平均の3倍もある長寿地域です。
京都府立医科大学循環器内科学教室の内藤裕二教授らは、2017年から丹後地域の長寿因子を探査していますが、腸内細菌も関与している事が分かってきました。
丹後地域の高齢者の腸内細菌は、酪酸菌のひとつであるクロストリジウム菌が多かったのです。但し、丹後地域の孫の世代ではその傾向にはなりませんでした。孫の世代はコンビニを利用しているからです。丹後地域の高齢者の食事で特徴的だったのは、海藻、イモ類が多かったことでした。まだ分かりませんが食物繊維が良いのかもしれません。
 2014年のマサチューセッツ工科大学の研究で、腸内細菌に影響を及ぼすのは、前日に食べた食物繊維量である事が分かりました。これまでのことはともかく、これからは食物繊維の多い食事をすることが健康上重要です。
私も食物繊維が多くなるよう食事に気を付けていますが、子供たちが帰省して来ると、腸の調子がよくなるようです。

                                   (竹下敏光)

2022年06月22日

アンチエイジングと健康

アンチエイジング医学(抗加齢医学)という言葉を聞いて皆さんはどのように思うのでしょうか。シワやシミをとるための手術とかサプリメント・化粧品などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
 そもそもアンチエイジングの考え方は1990年頃に成長ホルモンの投与が外見的・筋力的に若返りをもたらした事をきっかけに始まり、1992年には米国抗加齢学会が設立され健康長寿を目指す学問として急速に世界中に認知されてきました。
 日本では2001年に第一回抗加齢医学研究会が開催され、2002年には研究会から医学会に昇格し、可能な限り商業主義を排除し学問性の追求がなされています。ちなみに私はこの学会の会員になり、専門医資格を取得しています。抗加齢医学は加齢や老化のメカニズムを明らかにし、それに対抗する為にどうしたらいいのかを研究する学問です。
 基礎分野として、遺伝子、細胞医学、活性酵素、免疫、代謝、ホルモンなどと抗加齢との関係、臨床分野では診断法や検査法、食事・身体活動・サプリメントなどの生活習慣と抗加齢の関係、さらにホルモン補充療法・肥満対策・美容と化粧など、非常に広範囲に亘り、医師以外の多業種の方が学会に参加しています。
 さて、人はだれでも生まれた瞬間から加齢を重ねていき、物理学的な時間の長さという加齢は全員同じです。一方、物理学的加齢が作る衰えが身体や精神的に現れるものを生物学的加齢といいますが、こちらのほうは個人差があることは経験的に明らかなことです。もし生物学的な加齢もみんな同じように起こるのであれば、抗加齢という考えそのものが成り立たなくなってしまうのですが、現実は年をとるということは、個人差が広がっていくということに他なりません。若くして倒れる人もいれば、高齢でも元気な人(心身機能の低下が少ない人)もいます。RoweとKahnが1987年に提唱した“サクセスフル・エイジング”(表1)を目指すのが抗加齢医学の使命であり、抗加齢医学は究極の予防医学と言えます。

 表1
サクセスフル・エイジング
1.疾病や障害の原因となる危険因子が少ない状態
2.認知および身体運動機能を良好に保持している状態
3.人生に対して積極的に関与している状態
                             (竹下敏光)

2022年04月01日

ウォーキングと健康

久慈川の河川敷や県立病院通りを歩いていると、朝でも夜でも沢山のウォーカーに出会うが、特に朝はお互いに挨拶を交わして、すがすがしい気持ちになる。 健康を意識する中高年以上の世代の人口が増えたこともあり、以前よりもウォーカーの数が増えたように感じるが、それでも歩かない人のほうが圧倒的に多いのは間違いなく、特に男性ウォーカーは少ない。外来診療の場でも、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの予防や治療そして体力を向上して元気で長生きの為に、ウォーキングするように口をすっぱくして勧めるが、患者さんは耳にたこができてもなかなかやってくれない。しかしまれに、ウォーキングが習慣化して、「お陰さまで検査値が正常化して体調もすこぶる良いです」などと言ってくれる患者さんがいると、医者冥利に尽きる。私事で恐縮だが、私はランニングも好きだがウォーキングも好きで、学会などで出かけた時はその土地を歩いたり走ったりして、新鮮な風景や町並みを見ることを楽しみにしている。そのことにより、体力の維持と共に脳の活性化が図られ、充実感が満ちてくるのを感じる。日常でもほとんど毎日歩いているが、特に通勤時を活用して、真直ぐ行くと6分しか掛からない距離を、故意に遠回りして20~30分程歩いている。背のリュックには重い本を入れて重力負荷をかけ、英語のリスニングの教材を聞きながら、時速7kmほどの速歩でエクササイズウォーキングしているのだが、前に歩いている人がいると、ついスピードを上げて追い越そうとする悪い癖はいまだに治らない。朝食後なので血糖が筋肉で使われて血糖の上昇を防ぎ、糖尿病の予防にも一役かっているのだが、糖尿病や糖尿病予備軍の方には、食後のウォーキングなどの運動が、最高の治療である事を強調したい。歩行は1歳の頃から何10年も続けていることなので、特別な練習もなしに、誰でも手軽にできる運動であり、速歩だと男性で21分女性では26分で100キロカロリー消費し、毎日歩くと3ヶ月で脂肪1kgが減ることになる。ウォーキングには、減量やメタボ・高血圧・糖尿病・脂質異常症の予防や治療の他にも沢山の効用があることが分かっている。皆さんが最も恐れている癌の予防にも効果が期待されるが、運動により癌の原因となる活性酸素を取り除く酵素の働きや免疫力が増強し、ホルモンのバランスも癌に罹りにくい状態に変わるのである。特に最近日本で増加している大腸癌は、運動による確実な予防効果が認められている。認知症も運動の予防効果が期待できるが、「平均65歳の人達がウォーキングを6ヶ月続けたところ脳の重量が増し注意力テストの点数が11%よくなった」、「65歳以上の1740名を6年間追跡したところ運動群で認知症の発症が40%少なかった」など、沢山の研究結果がある。自殺に結びつくうつ病も運動の効果が明らかで、抗うつ薬と同じくらいの効果があったと言うデータさえある。さらに、骨粗鬆症の予防に役立つのは言うまでもない。病気の予防になり、体力、足腰が丈夫になるので、ウォーキングを続けていると、健康寿命が延び、死亡率も低下するのであるが、「歩行速度が速いほど死亡率が少ない」、「歩く距離が多いほど死亡率が少ない」といった研究結果もみられる。
 皆さんそれでも歩きませんか?

                                (竹下敏光)

2022年04月01日

アルコールと健康

慶事、弔事、忘年会、新年会、歓迎会、送別会そして懇親会と様々な場面にアルコールは付物であり、飲酒は文化の一つという地位を獲得しています。そのような時だけではなく日常でも、特に悪い事とは思われずに普通にアルコールは飲まれています。また、2000年前の中国の漢の時代に書かれた「食貸誌」には「酒は百薬の長」とあり、ヒポクラテスも「ワインは最もおいしい薬、最も楽しい食品、したがって最も価値のある飲料である」と述べるなど、健康に有益であることも言われてきました。百寿者のなかにも、日常的に酒類を嗜んでいる人達もいます。確かにアルコールは善玉コレステロールを増やす作用があり動脈硬化の予防になるかも知れませんし、ワインに含まれるポリフェノールは抗酸化作用があります。また、脳の機能を抑制するので心をリラックスさせる効果もあります。しかしそれはあくまでも「適正飲酒をしていれば」の条件が付くのです。現在、厚生労働省が進めている10万人を対象とした研究によると、全く飲まない人達よりも2日に1合(日本酒に換算)程 度飲む人達のほうが総死亡も癌による死亡もリスクが低くなっています。
しかし毎日2合程度になると飲まない人達よりも死亡リスクが高くなってしまいます。また、脳卒中や自殺では1日3合以上飲む人達で急にリスクが高くなっています。そのようなことからも、適正飲酒とは「1日2合まで、週に2日は休刊日を」といえるかと思います。それでは適正飲酒を守らないで長年飲んでいるとどうなるでしょう。
肝臓の障害がまず思い浮かぶでしょうが、毎日清酒5合を20年間飲み続けると
肝硬変になるリスクが13倍にもなるのです。慢性の食道炎や胃炎そして慢性膵炎もアルコールに関連した怖い病気です。そしてさらに怖いのが発癌です。最近の信頼のおける研究から、肝臓だけではなく口腔、咽頭、喉頭、食道、乳房でも飲酒が直接発癌のリスクを上げる事は確実であると考えられています。アルコールの粘膜への直接作用のほかに、アルコールが体内で変化したアセトアルデヒドに発癌性があるのです。発がん物質であるアセトアルデヒドは分解酵素の働きでさらに変化しますが、この酵素の働きが弱い人達が日本人では
50%ぐらいいます。そのような人達はもともとアルコールに弱いのですが、それを無理して飲んでいると一層発癌の危険が増してしまいます。最後にアルコールはニコチンと同様に依存性があることを忘れてはいけません。アルコール依存症の人は220万人いるといわれていますが、無意識に酒を探すようになったら注意が必要です。酒の文化を享受するのはいいでしょうが、健康の為にしっかり考えたのみ方をしましょう。少し飲んだほうが死亡と癌のリスクが少しだけ低いからといって、これまで飲んでこなかった方はそのまま飲まないほうがいいのは勿論のことです。

                                   (竹下敏光)

2022年04月01日

歯周病と健康

 世界では新型コロナの感染のパンデミックが続き、収束はまだまだ見えてきません。
 今回は「世界的規模で蔓延している、人類史上最大の感染症」として2001年にギネス認定された歯周病についてです。
 2017年の厚生労働省が実施した日本人の調査では、歯周病患者数は398万人でしたが、
これは歯科で治療を受けている患者数で、歯周病は未治療の患者が多いので、実際の患者数ははるかに多くなります。
 実際日本人の有病率を見ると、20代ですでに71.1%もあり、年代とともに上昇し、80代では何と90.2%の方が罹患しています。さすが、ギネスが世界一と認定しただけのことはあります。
 この歯周病、治療して治り将来的に悪影響を及ぼさないなら良いのですが、実際は違います。歯周病は、歯を失う原因で虫歯を抜いて一位になりました。さらに、心筋梗塞、脳卒中、骨粗鬆症、誤嚥性肺炎、認知症、そしてなんと早産にも悪影響を及ぼすことが最近の研究で明らかになっています。
 たかが歯周病と侮らずに、しっかり予防することが大切です。
 歯周病の原因は細菌です。人間の口の中には、なんと直腸と同じぐらいの濃度で細菌が住んでいます。その種類は数千種類と言われ、腸内細菌と同様に、善玉菌、日和見菌、悪玉菌に分けられ口内細菌叢を形成しています。
 出産時に母親から菌をもらう事を初めとして、その後沢山の種類の菌をもらい、30歳頃には口内細菌叢が完成します。歯周病になりやすいかどうかはどの時ある程度決まります。
 口内細菌叢の良し悪しは親からもらいますが、自分でよい状態にできる方法があります。それは歯磨きです。
 歯に付着している細菌の固まりをプラークと言いますが、歯磨きはプラークをできにくくしますが、正しい方法で10から15分と充分な時間をかける必要があります。
 また、症状がなくても定期的に歯科受診し、プラークコントロールしてもらうことをお勧めします。
                                                                            (竹下敏光)

2022年04月01日

オペラと健康


 何故かわかりませんが、私は子供の頃からクラシック音楽が好きで、大学生の頃にはLPレコードやラジオ放送でクラシック音楽を毎日聴いていました。その中でレコードやCDで、モーツァルトやワーグナーのオペラの前奏曲集とアリア集を聴き感動したことを覚えています。
 オペラの映像を初めて見たのは、レーザー・ディスクの時代の25年程前で、モーツァルトの「魔笛」とヴェルディの「アイーダ」でした。その後DVDの時代になり、DVDのオペラ全集を揃えて勉強しました。
 モーツァルト、ワーグナー、ヴェルディ、プッチーニ、ロッシーニなど、沢山の作曲家のオペラを観ましたが、その中でモーツァルト、ヴェルディ、ワーグナーが、特にワーグナーを好きになりました。
 さて、田舎に住んでいると、なかなか機会に恵まれず、初めて生のオペラを観たのはかなり遅く、2001年11月6日、盛岡市民文化ホールで行われたリシャルト・シュトラウス作曲の「サロメ」で、その時すでに51歳でした。
 クラシック音楽もオペラも生演奏が一番ですが、岩手県で上演されるのは、残念ながら年2~3回しかありません。東京では、新国立劇場のオペラハウスを初め、年に30回ぐらいは上演があるので、余りの違いに愕然とします。それでもめげずに年に4~5回は観るように努め、その後16年間で観たオペラは50回程となり、タイトル数は30を数えています。
 その中で私が最も気に入っているオペラは、ワーグナーの「ニーベルンゲンの指輪」です。1回平均4時間半かかり、4回の連作ですので全部で18時間かかる超大作ですが、これまでに4日間を4回観ています。
 オペラは、原語で歌うし、難しいと思っている方が多いかと思いますが、映画と同じで、日本の公園では日本語の字幕が付くので心配ありません。
 いい声のオペラ歌手のすばらしい歌と演技、演出家の舞台としての面白さ、そしてオーケストラの演奏とすべてを含んでいるオペラは、世界一の総合芸術です。WOWOWではニューヨークのメトロポリタンオペラを、月2回放送していますし、DVDもたくさん売られています。皆さん是非試してください。
                                                                           (竹下敏光)

2022年04月01日

おかげさまで31周年

竹下医院は令和4年3月19日、31周年を迎えることができました。

ひとえに地域の皆様のお陰と、深く感謝申し上げます。

2022年03月19日

登山と健康

 先日、遠島山(トオジマヤマ)に初めて登った。この山は、久慈市と岩泉町にまたがる標高1,262mの山で、久慈市最高地点であるだけでなく、安家森の1,239mより高く、岩手県北の最高峰でもある。
 この山は県別登山ガイドに載っており、自宅から近いこともあり、そのうち登りたいと以前から思っていたが、私の実力ではまだ無理と思い敬遠していた。しかし、最近登山力が向上したこともあり、無理なら途中で戻っても仕方がないと割り切り、挑戦することとした。
 久慈市門前の自宅から登山口のある久慈市山形町内間木洞までは、車で45分と近い。
内間木洞の少し先の林道が登山口だが、分かりやすく間違うことはない。
 1時間ほど林道を登ると、4合目の少し手前にある遠島山荘に着く。遠島山荘はトイレ、炊事施設がある結構立派な山小屋で、前の広場ではキャンプもできる。
 山荘を後にして、4合目を過ぎると林道は終わり、いよいよ本格的な登山道となり、斜度も増す。5合目には、叩いて音を出すクマよけがあり、それを叩いて進む。それ以外にもクマよけの為、鈴の音と音楽も使う。音楽は、ラジオは電波状況が悪く使えず、ポータブルCDプレイヤーでワグナーの曲を流しながら登った。
 幸いにクマには遭遇せずに、2時間40分で山頂に立つことができ、感激である!
往復5時間、高度差800mの山行であった。
 以前にも書いたが、登山は全身持久力や全身筋力向上、骨量向上に役立つ。さらに、登頂の達成感は意欲の向上につながり、うつ状態を良くするなど、精神面でも好影響を与える。
 登山はまさに、健康長寿の特効薬なのだ。
 私は65歳を過ぎてから登山を始めたので上達は遅いが、次は往復6時間のコースに挑戦したいと思っている。
                               (竹下敏光)

2022年03月16日

認知症予防と健康 その4

 前回、プレデセン先生の書いた「アルツハイマー病の真実と終焉」という本を紹介し、アルツハイマー病の真の原因は、炎症・栄養素不足・中毒の3つで、それを知るため36のチェック項目があることを書きました。今回は、その中から特に重要な3項目をピックアップして説明します。
最初は、空腹時血糖、空腹時インスリン、ヘモグロビンA1cの糖質代謝の検査です。
糖尿病は、最も重要な認知症の危険因子であることはすでに定説ですが、糖尿病にならないだけでなく血糖値はできるだけ低く抑えるほうがよいことが分かっています。高血糖は認知症に悪いだけでなく癌や動脈硬化にも悪いのです。その為に有効なのが糖質制限食と有酸素運動です。有酸素運動は食後が特にお勧めです。食後30分後頃から血糖値が上昇しますが、運動すると筋肉細胞が糖質を取り込んで使ってくれるので血糖値が下がるのです。
 2番目に細胞保護作用のあるビタミンB1、B6、B12、C、D、E、葉酸の血中濃度をチェックします。数値が低いビタミンは薬剤やサプリメントで補います。特にビタミンDは認知症の予防の他、骨を丈夫にすることは皆さんご存知でしょうが、さらに大腸がんの予防効果があることが注目されています。ビタミンDはしっかり摂ったほうがいいでしょう。
 3番目に不飽和脂肪酸であるオメガ6とオメガ3の血中濃度を測りその比をみます。オメガ6は炎症を促進し、オメガ3は抑制するのでオメガ3が多いほうが良いのです。しかし、私たちが日常生活で普通に取っているサラダ油、天ぷら油などはオメガ6を多く含んでいるので通常の食生活ではオメガ6の濃度が高くなってしまいます。従ってオメガ6の多い油は意識的に控え、オメガ3を多く含む油を積極的に摂ります。
オメガ3脂肪酸とはEPA、DHA、アルファリノレン酸などです。
EPAは魚、特にイワシ、サンマ、サバなどの青身魚に豊富です。積極的に食べましょう。
また、アルファリノレン酸は、亜麻仁油、エゴマ油に多く含まれます。サラダなどでかけて食べましょう。
 この方法は、認知症だけでなく動脈硬化を抑え脳卒中や心筋梗塞予防そして癌の予防にも有効です。
                              (竹下敏光)

2019年04月27日

認知症予防と健康 その3

今年3月に「アルツハイマー病の真実と終焉」という本が発売されました。
この手の一般書は、まゆつばものが多くあまり信用できないのですが、この本は違います。著者はアルツハイマー病の研究を30年以上続けてきた一流の研究者でアメリカ人のデール・プレデセン先生です。
 プレデセン先生は学術誌の論文も沢山発表しているのですが、自分の提唱する方法を少しでも早く広めて少しでも多くの患者さんを救いたいとの思いで一般書を書くことにしたようです。2017年8月にアメリカにおいて英語で出版され、日本語版は2018年3月出版と、すぐ翻訳されています。
 アルツハイマー病は、アミロイド仮説と言われる脳にアミロイドベータが溜まることが原因と考えられてきました。そして脳内のアミロイドベータを減らす薬を作ることに力が注がれ世界中でことごとく失敗してきたのです。
 しかし、プレデセン先生の研究によりアルツハイマー病の本当の原因が分かったのです。
それは、
1.感染、食事そのほかの原因による炎症
2.補助的な栄養素、ホルモン、その他脳の栄養となる分子の不足
3 金属や生物毒素などの有害物質   の3つです。
それらをもっと詳しく「36の要因」を特定しました。その要因を検査により見つけ出し、その要因を正常にするだけでなく最適値にする方法をリコード法と名付けました。
 リコードはReversal of Cognitive Decline(認知機能低下を元に戻す)を意味する英語の頭文字をつなげて作った造語です。
 アルツハイマー病の患者さんを対象にリコード法を行ったところ、約9割に回復が認められたとプレデセン先生達は2014年に医学雑誌に発表しています。9割有効とは驚きですね。
「36の要因」の内容については次回に紹介しますが、食事はグルテンフリー、糖質制限が有効なようです。
                             (竹下敏光)

2019年04月27日

認知症予防と健康 その2

 

 日本認知症予防学術集会に今年も参加し勉強してきました。
 第8回を数える今年の集会は9月22日~24日までの3日間東京で開催され、いつも以上に白熱した雰囲気を感じました。というのも昨年初めて認知症予防専門医が誕生しそれに続こうという医師が沢山いて、どの会場もほぼ満席だったからです。
 私は、今年の専門医申請には間に合わず来年の6月に申請して9月には認知症予防専門医の資格を取得できそうです。そして勉強して得た知識を生かして地域の認知症予防の為少しでも役立ちたいと考えています。
 さて、日本認知症予防学会にはエビデンス創出委員会なるものがあります。
エビデンスとは、日本語に訳すと「証拠」になりますが、ある薬、サプリメント、方法などが本当に有効な場合、エビデンスがあると言います。
薬に限らず様々なことが認知症予防のエビデンスがあるかどうか検討することも本学会の大きな使命なのです。
今年、新規にエビデンスありとされたのは、フェルガードというサプリメントです。これは米ぬかから抽出したフェルラ酸とガーデンアンゼリカ抽出物を混ぜたもので抗酸化作用、抗炎症作用、アミロイドベータタンパク質減少作用があり、臨床試験でも優位差を持って予防効果が認められています。フェルガードは当院でも取り扱っています。
 また、音楽療法特に楽器の演奏がエビデンスありとされました。さらに運動が良い事はもう皆さんご存知でしょうが、軽度認知障害を有する308名を対象にした臨床試験でも進行防止効果が確認されました。
 予防法や治療法は、効いたという個人の体験だけでなくエビデンスを確認してから取り入れることが重要です。
                            (竹下敏光)

2019年04月27日

認知症予防と健康 その1

9月22日から3日間行われた、第7回日本認知症予防学会総会学術集会に参加してきました。この学会は認知症の予防に重きをおいた、設立後まだ7年しかたっていない新しい学会です。
 私の専門は産婦人科ですが介護老人保健施設、介護老人福祉施設、認知症グループホームなどの介護施設を運営している為、認知症には以前から興味があり、昨年1月には認知症サポート医の資格を取得し、この学会には2年前に入会して勉強しています。
 予防といってもこの学会で扱っているのは、発症を予防する1次予防だけではなく、早期発見早期治療の2次予防、病気が進行しないようにする3次予防も含み、薬物に限らず、サプリメント、行動療法も含めて、それが良いか悪いかのエビデンスを出すことを学会の使命の一つにしています。
 そして、やはり力を入れているのが1次予防と2次予防です。勿論、1次予防できて病気にならないのがベストですが、今回はその1次予防について述べたいと思います。
 これまでの研究で、糖尿病の人は認知症の発症が2倍になることがわかっており、脂質異常症や高血圧症でも認知症の発症が増えます。また、歯周病、運動不足、ビタミン不足、会話が少ないなども危険因子です。
 従って認知症予防にはこれらと逆をすればよいことになります。先ずは糖尿病、高血圧症、脂質異常症など生活習慣病の予防が第一歩です。すでに病気の方は、薬剤などでしっかりコントロールしてもらって下さい。歯周病は歯科で治してもらいましょう。歩行などの運動をできるだけ毎日行いましょう。特に運動しながら計算するなどデュアルタスク運動がよいと言われています。食事はこれが良いというものはなく、野菜、海藻、魚を中心にバランスよく摂るようにします。そして家にばかりいないで社交的になること、趣味を持つことです。
 最近は良い薬もできたので病気の進行をかなり抑えられるようになりました。心配な時は受診し、早期発見治療を受けましょう。
竹下医院にはタッチパネル式の5分ぐらいで簡単に早期発見できる医療機器があります。
お気軽にご相談ください。
                             (竹下敏光)

2019年04月27日

みずき団子作り

 

介護福祉士 粒來です。
ショートステイ利用者と季節のさまざまなイベントを開催しています。
利用者参加型の行事として、一月は、水木団子つくり頑張った後は、「うきうき団子」(へっちょこ団子)を皆で頂きました。
作るより食べるほうを優先したあまり少し寂しい水木団子となりましたが、そこは職員の腕の見せ所で、とても華やかな水木となりました。(笑)
2月は、節分です。恵方巻を皆さんと作りたいと思います。
3月は、お雛様ですね。何を作るかは、考え中です。

2019年01月15日

豆腐と健康

こんにちは、2回目も事務の太田です。
2週間ほど前に主人と『への旅』に行きました。何のことはない、九戸、三戸、二戸の道の駅周りをしただけなんですが。
三戸(実は私の生まれ故郷)へ葡萄を買うのが目的だったのですが、もうリンゴだらけで葡萄はなく、松原せんべい店の柔らかい『せんべいのみみ』を大量に買い込んで戻ってきました。
最後に大野の道の駅で『岳豆腐』を買って帰りましたが、感動しました!
ずっしりとしたというか、しっかりした豆腐です。もう葡萄のことなんて吹っ飛びました。
また食べたいと翌週も大野の道の駅にいきました。産業まつりでたくさんのお客様で賑わっており、豆腐は売り切れたのか一個もありませんでした。『豆風鈴』と書かれた黄色のジャンバーを着たお母さんたちがいましたが、声をかける勇気もなくひとりソフトクリームを食べて帰って来ました。
手に入らないとなると無性に食べたくなりますよね、来週の休日また大野に行ってみます。

岳豆腐 豆風鈴
2018年10月24日

消火訓練実施しました

こんにちは 事務の太田です。
ブログ開始第1弾です。
先日、久慈消防署のご協力のもと火災を想定した通報訓練、消火訓練を実施しました。
休日の職員も参加し初期消火の訓練を行いました。

普段から、消火器の置き場所を知る。
消火設備の使い方を確認しておく。
避難時には、ドアを閉めて延焼を防ぐ。
避難後の人数確認。(当日の入所者、職員の人数の把握)
 
入所の方の人数は、毎朝確認しておりましたが、出番の職員数までは把握してませんでした。
また、ご近所の方々にお知らせしていなかったので、消防車をみてお隣さんがビックリしてました。驚かせてすみませんでした。(*_*;
ご指導くださった久慈消防署の皆さん、ありがとうございました。
次回は、車に乗せてください!

消火訓練消防車とおばさん
2018年10月11日

ホームページをリニューアル

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2018年09月01日

オプティマルヘルスと健康

オプティマル(optimal)を英和辞典で引くと、最善の、最適の、とあります。
オプティマルヘルスとは最善の健康のことで、まさにアンチエイジング医学が目指しているのがそれです。
 30歳、40歳、50歳、60歳と人は年齢を重ねますが、その年齢で望みうる「最善の健康状態」があり、それを維持することが「美しく元気に年をとる」ことになります。
40代の健康状態は、30代の時のライフスタイルに左右されるので、将来のオプティマルヘルスを目指す為には、ライフスタイルを整える必要があります。若い人は健康で元気なので、健康のことなど考えずに無茶をしがちですが、できるだけ早い時期から、健康的なライフスタイル、言い換えると生活習慣を身に着け実行すべきです。
 では、その良い生活習慣とはいったいどんなものでしょうか?
オプティマルヘルスを目指す場合も特別なことはなく、食事、適度な運動、ストレス解消の原則をより忠実に行うことです。
 先ず食事です。抗酸化、抗糖化を考え、何種類もの野菜、海藻を沢山いただき、血糖を上げないよう糖質の多いごはん、麺、パンなどの主食やお菓子、ジュース等は減らし、魚、脂身の少ない肉、卵など良質のたんぱく質を多く含む食品は多くします。卵はコレステロールが多いので、血中コレステロールが上がりよくないと健康に対して目の敵にされてきました。しかし、コレステロールの多い食事をしても血中コレステロール値には影響しないことが判明したので大丈夫です。それから、塩分とおこげは少なくします。
 次に運動です。特別な運動をしてもいいのですが、日常生活で体を動かす活動時間が多いとそれでOKです。私は通勤を遠まわりして1日6㎞程、速足で歩いてます。それと自宅でニュースを見ながらスクワットと腹筋を20分間行います。おかげで今65歳ですが体組成は30歳代を維持しています。
 ストレス解消は趣味を持つことをお勧めします。ちなみに私はクラシック音楽鑑賞が大好きで毎日自宅で聴き、時々コンサートに出かけます。カラオケなどもおすすめですが、くれぐれもアルコールが過ぎないようにしましょう。
 皆さん、是非オプティマルヘルスを目指しましょう!!

2018年06月26日