女性ホルモンと健康 その3

 思春期を過ぎると、20歳代中ごろから40歳代中ごろまでを「性成熟期」と呼び、月経が順調で、妊娠可能な時期です。
この時期の女性ホルモン値は、通常では高めで安定しており、女性にとって、女性ホルモンの恩恵を、人生の内で最も多く受ける時期です。
 女性ホルモンは、妊娠を可能にするだけでなく、女性にとって嬉しい働きがたくさんあります。
1つ目は骨です。女性ホルモンは骨密度を増やし、HRT(ホルモン補充療法、女性ホルモンを補う治療)の働きによって骨折を予防することが分かっています。
2つ目は動脈硬化です。女性ホルモンは悪玉コレステロール値を下げ、中性脂肪を増やしません。血圧は変動させず、血管の内皮細胞機能を改善します。これらは動脈硬化の予防にとって、とても有益なことです。
3つ目は脳機能です。認知機能の向上には、残念ながら役立ちませんが、うつ状態を改善し、気持ちが明るくなります。
4つ目は糖代謝です。経口HRTは血糖値を下げ、糖尿病の新規発症を抑えます。
5つ目として、HRTは性交痛に効果があります。
6つ目として、皮膚についてです。女性ホルモンは、皮膚のコラーゲン量が増加し、皮膚の厚みが増すと言われています。また皮膚の表層組織のきめ細やかさや皮膚結合組織の粘弾性改善効果があります。

このように健康と美容に有効な女性ホルモンですが、HRT(女性ホルモン補充療法)を行うには、産婦人科医の診察が必要です。
また、この時期の女性が注意すべき疾患があるので、挙げておきます。
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣嚢腫などが挙げられます。性器出血や下腹痛があったら、直ぐ受診して下さい。症状が無くても、性交経験者は子宮頸がんになりやすいので、年1回、子宮頸がん検査を受けた方が安心です。

 

2024年05月24日